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お知らせ:台湾と中国の間の特許出願の際の優先権主張について



  近年、多数の日本の企業が、中国に進出して中国で完成した発明を出願し、又は現地法人として中国子会社を設立してその中国子会社の名義若しくは共同出願人として出願するケースが数多くあります。既にご存知かと存じますが、現在、台湾と中国の間には優先権の相互承認や互恵条約が存在していないため、互いの国での特許・実用新案・意匠出願(以下、まとめて「特許出願」と称す)に基づいた優先権主張は認められていません。一方、その他の国での基礎出願に関してはその取り扱いが異なっています。ご参考のために、当所にて以下のように整理いたしました。なお、中国では2009101日に改正特許法が施行され、「機密保持審査」に関する規定が新たに導入されましたが、この新しい規定に関わる台湾での優先権主張についても、併せて以下にご報告いたします。

1. 中国での基礎出願に基づいて台湾へ特許出願する場合
最初に中国で出願された基礎出願に基づいて、台湾へ出願する場合、当該基礎出願に基づく優先権主張は認められませんので、早期に台湾へ出願する必要があります。
しかしながら、ご存知のように、中国では、2009101日に改正特許法が施行されました。同法第20条では、中国への第一国出願に関する義務は撤廃されましたが、実質的な内容が中国で完成された発明又は実用新案は、「国務院専利行政部門」による「機密保持審査」を経てからでなければ海外に出願できず、また、この法令に違反した場合、中国での特許権又は実用新案権は付与されないと規定されています。したがって、台湾へ出願する必要がある場合は、「機密保持審査」の手続きを経た後(改正特許法実施規則第9条では4又は6ヶ月以内と規定されています)、初めて台湾へ出願することができます。そのため、中国へ出願すると同時に又は早期に台湾へも出願することで台湾での早期の出願日を確保するという従来のやり方ではできなくなります。
このような中国の特許実務に対しまして、次のような対応策があります。
台湾はWTOに加盟しており、PCT出願に基づく優先権主張であれば、中国国家知識産権局を受理官庁(RO)としたPCT出願であっても台湾はその優先権主張を認めます。一方、中国の改正特許法第20条の規定により「機密保持審査」を要する発明又は実用新案の出願の場合は、改正特許法実施規則第8条第3項の規定によれば、「中国国務院専利行政部門に対し国際出願を提出したものは、機密保持審査を請求したと見なされる」ので、たとえ「機密保持審査」に時間がかかっても、台湾へ出願する際、当該PCT出願に基づく優先権主張が認められます。よって、「機密保持審査」の手続きを経た後に、台湾へ出願すれば結構です。(但し、当該PCT出願が最初の出願である必要があります)。
2. 中国国民又は企業による中国以外の国での基礎出願に基づいて台湾へ特許出願する場合。
中国で出願されたものではなく、PCT基礎出願又は中国以外の国での基礎出願に基づいて台湾へ出願する特許出願であっても、当該台湾出願の出願人の中に中国国民又は企業が含まれている場合は、当該基礎出願に基づく優先権主張は認められません。ただし、発明者の国籍は問いません。
このような台湾の特許実務に対しまして、次のような対応策があります。例えば、日本A企業とその中国子会社である中国a企業がPCT基礎出願又は中国以外の国での基礎出願に基づいて台湾へ特許出願する場合、日本A企業の名義のみで台湾へ出願すれば、当該基礎出願に基づく台湾への出願はその優先権が認められます。このように出願した後に、更に中国a企業を当該台湾出願の共同出願人(又は、登録査定後は共同権利者)とする手続きをすれば、実質上、同じ効果が得られます。面倒な出願手続きとなりますが、現段階ではこのような方法が有効的です。
3. 台湾での基礎出願に基づいて中国へ特許出願する場合
最初に台湾で出願された基礎出願に基づいて、中国へ出願する場合は、当該基礎出願に基づく優先権主張は認められませんので、同期に又は早期に中国へ出願する必要があります。
4. 台湾国民又は企業による台湾以外の国での基礎出願に基づいて中国へ特許出願する場合
台湾以外の国での基礎出願に基づいて中国へ特許出願する場合は、出願人の中に台湾国民又は企業が含まれていても、中国は当該基礎出願に基づく優先権主張を認めます(但し、パリ条約の加盟国に限る)。(SIPOのホームページにおける「台湾人による特許、実用新案、意匠出願に関する規定」の五の後半の「我が国は既にパリ条約に加盟しているので、台湾人が…パリ条約のある加盟国に提出した第1国出願に基づき優先権主張をするものに対し、中国特許庁はそれを受理する。」との規定もご参照ください。
(http://www.sipo.gov.cn/sipo/flfg/zl/bmgfxwj/200706/t20070613_174835.htm)
この点は、上記2の台湾の特許実務と異なりますので、どうぞご留意ください。

上記のようにご報告いたしました。ご参考になれば幸いに存じます。ご質問、お気づきの点、ご要望などございましたら、お気軽に林(chlin@leeandli.com)までお問い合わせください。

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