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「個人情報保護委員会組織法」草案及び「個人情報保護法」一部条文改正草案が行政院会議を通過
「個人情報保護委員会組織法」草案及び「個人情報保護法」一部条文改正草案が行政院会議を通過
曾更瑩/開政道
個人情報保護委員会(以下、「保護委員会」といいます。)が2025年8月までに設立されます。これに伴い、行政院は2025年3月27日の第3945回会議で「個人情報保護委員会」組織法草案及び「個人情報保護法」一部条文改正草案(以下、「改正草案」といいます。)を通過させました。今後、立法院に送られ審議されます。「個人情報保護委員会」組織法草案の主な規定は、委員会の組成、委員の資格、委員会の運営等に関するものです。個人情報保護法改正草案では、主に保護委員会成立後の権限・責任により同法の条文の文言が調整され、同時に公務機関に対する監督を強化し、保護委員会は各中央目的事業主務官庁及び地方政府と連携・協力して非公務機関の監督管理を行う等の規定が追加されています。また、民間企業の角度からいうと、以下の改正される可能性がある事項に注意する必要があります。
一、主務官庁に対する個人情報事故の報告義務
個人情報保護法の上位法には、個人情報事故発生時に主務官庁に対して報告すべきか否かに関する規定がありません。改正草案では個人情報事故について、一定の報告範囲に合致する場合、主務官庁に報告しなければならないと規定されています。前述の報告義務のほか、改正草案では事故が発生した企業に事故に対して即時かつ有効な対応措置を講じ記録を保存するよう要求する旨も規定しています。具体的な報告の内容、方法、期限及び範囲、並びに対応措置、記録保存等に関する詳細事項については、保護委員会によって今後制定される予定です。企業が主務官庁に対する報告義務に違反した場合、主務官庁は過料に処すことができます。
二、個人情報の当事者に対する個人情報事故の通知義務
改正草案は、民間企業に個人情報事故発生時に当事者に通知することも要求しており、将来的に企業は、事故発生後まだ調査していない又は企業自身が事故の発生について個人情報保護法に違反していないことを理由に個人情報当事者への通知を遅らせることができなくなります。改正草案は、主務官庁に通知する内容、方法、期限等の関連事項について別途詳細に規定する権限を与えています。
三、行政調査に関する規定の改正
改正草案では、行政調査の詳細手続きが追加され、将来行政調査は保護委員会が発動するか否かを決定し、かつ保護委員会は中央目的事業主務官庁及び地方機関と共同・協力して行政調査を行うと規定されています。
四、主務官庁の権限の区分け
将来、個人情報保護法は、保護委員会が主務官庁を一任されます。ただ、将来保護委員会は、一定範囲の非公務機関(事業者)を指定し、保護委員会の成立から6年間、これらの事業者を管轄する中央目的事業主務官庁又は地方自治体政府が個人情報保護法におけるいくつかの監理事項を引き続き管轄する旨を、行政院に公告を要請できるという規定が、改正草案に追加されています。これらの事業者に適用すべき個人情報ファイル安全保護計画又は業務終了後の個人情報処理方法については、引き続きそれらの中央目的事業主務官庁が制定し、かつ比較的厳格な規定を制定することができます。
五、保護委員会の行政処分に不服がある場合、直接行政訴訟を提起して救済を求める
保護委員会は独立機関であり、法律に別段の規定がある場合を除き、その他機関の指揮監督を受けません。よって、保護委員会の個人情報保護法に基づく行政処分に不服がある場合、直接行政訴訟手続きが適用されます。
行政院を通過した個人情報保護法改正草案には、関連事項に関する詳細な規定があります。当事務所は、「デジタル産業、通信業及び個人情報の保護」のプラクティスチームを設けており、長年にわたり企業の個人情報保護に関する事項についてサポートしております。ご質問やサポートが必要なこと等ございましたら、いつでも当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、林莉慈弁護士(litzulin@leeandli.com)までお問い合わせいただければ幸いです。