ニューズレター
日台租税協定について
日台租税協定について
2015年11月26日に署名された日台租税協定(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め)が、2016年6月に発効しました。これは台湾にとっては30番目の租税協定であり、また東アジア地域の国家と締結したはじめての全面的な租税協定となります。
1 適用開始時期
具体的な適用の開始時期は以下のとおりです。
(a) 日本国
日本で課される課税についての適用開始時期は以下のとおりです。
(i) 課税年度に基づいて課される租税に関しては、2017年1月1日以後に開始する各課税年度の租税
(ii) 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、2017年1月1日以後に課される租税
課税年度に基づいて課される租税に関しては、例えば3月末決算の会社の場合には2017年4月に始まる営業年度から適用されることになります。
(b) 台湾
台湾で課される課税についての適用開始時期は以下のとおりです。
(i) 源泉徴収される租税に関しては、2017年1月1日以後に支払われる所得
(ii) 源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、2017年1月1日以後に開始する各課税年度の所得
2 本協定の影響
本協定の対象は多岐に渡りますが、特に注目される内容は以下のとおりです。
・ 日本企業が台湾で事業を行なう場合の利益に台湾で課される税金については、恒久的施設(PE)の要件に該当しない限り免税となります(第7条)。また恒久的施設の定義について詳細な規定が設けられました(第5条)。
・ 日本企業が台湾企業から受領した配当、金利、ライセンス料に対する台湾における課税は10%となります(第10条から第12条)。したがって、例えば、日本企業が台湾子会社を設立した場合における子会社から配当、子会社に営業資金を貸し付けた場合の利息、子会社とライセンス契約を締結した場合に受領したライセンス料については、これまでは基本的には20%の税金が課されていましたが10%となります。
・ 株式の売買によるキャピタルゲインについても、一部の例外を除き、売主の居住地でのみ課税が行なわれることになりました(第13条)。
・ 給与所得への課税について、日本の居住者が台湾で行なった勤務について取得する報酬は、台湾に滞在した日数が連続する12ヶ月間で183日間を超えることがなければ台湾では課税されません。但し、①報酬が台湾の居住者でない雇用者又はこれに代わる者から支払われるものであること、及び②報酬が台湾に雇用者が有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでないことが条件となります(第15条)。
なお、協定の全文は以下のウェブサイトでご覧になれます。
https://www.koryu.or.jp/ez3_contents.nsf/04/8E4E559486B6799249257F090007B757?OpenDocument
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