ニューズレター
中国-北京、上海、広州に知的財産裁判所を設立
中国は、2014年8月31日に開かれた第12期全国人民代表大会常務委員会第10回会議において、「北京、上海、広州における知識産権法院(知的財産裁判所)の設立に関する決定」を決議し、当該決定は公布後に施行され、2014年末までに各知的財産裁判所の設立を完了する予定である。知的財産裁判所裁判法廷設置に関する規定は、最高人民裁判所が定める。知的財産裁判所は、当面、民事及び行政事件のみを審理する。
中国では四級二審終審制を採用している。四級とは、初級、中級、高級及び最高人民裁判所の4等級に区分されることを指し、二審終審とは、1つの案件が2つの審級の人民裁判所の裁判を経て終結することを指す。知的財産裁判所の審級は現地の中級人民裁判所に相当する。「専利」「植物新品種」「集積回路配置図設計」「技術(営業)秘密」など、専門技術性の比較的高い事件については、知的財産裁判所を第一審裁判所とし、当事者は当該知的財産裁判所所在地の高級人民裁判所に上訴することができる。知的財産裁判所の所在市における初級人民裁判所を第一審裁判所とする「著作権」「商標」などの知的財産権民事及び行政訴訟の判決、裁定の上訴案件は、知的財産裁判所を第二審裁判所として審理される。
知的財産裁判所は、当該裁判所を第一審裁判所として審理する事件につき、複数の区域を管轄することができ、その範囲は、最高人民裁判所が決定する。知的財産裁判所が設立されてから3年間は、自らが所在する省(直轄市)に限り、複数の区域を管轄することができる。国務院行政部門の裁定又は決定を不服として提起された第一審知的財産権の権利授与又は権利確定に係る行政事件は、北京知的財産裁判所の管轄に統一する。たとえば、「国家知識産権局」(※日本の特許庁に相当)専利再審査委員会が下した再審査(←同上)棄却と専利無効決定は、北京知的財産裁判所の設立後、北京市第一中級人民裁判所ではなく、北京知的財産裁判所によって審理される。
知的財産裁判所の裁判実務は、最高人民裁判所と所在地の高級人民裁判所が監督する。知的財産裁判所は法律により人民検察院の法律監督を受け、所在地の市人民代表大会常務委員会に対し責任を負い、また報告する。知的財産裁判所の「院長」(所長)は、所在地の市の人民代表大会常務委員会主任会議により選出され、同級人民代表大会常務委員会により任免される。知的財産裁判所の「副院長」(副所長)、「庭長」(裁判長)、及び「審判員」「審判委員会」委員は、知的財産裁判所の「院長」により選出され、所在地の市の人民代表大会常務委員会により任免される。