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共有専利の執行



専利権は無体財産権の一種であるが、その強制執行は依然として台湾強制執行法の規範を受ける。強制執行法第117条の「特殊財産権」に係る規定により、専利権に対する執行手続きは、強制執行法の「その他の財産権についての執行」の手続きを準用する。即ち、執行裁判所は差押え命令を出して、債務者が執行対象専利につき移転、実施許諾、質権の設定又は他の全ての処分を行うことを禁止することができる。但し、債権者の金銭債権につき条件、期限、反対給付又はその他の事由がついた結果、前述の規定により処理することができなくなった場合、執行裁判所は申立てにより、動産執行についての規定を準用し、当該専利権を競売又はこれを売却することができる(強制執行法第115条第13項)。また執行裁判所は情況を酌量して、当該専利権の管理を命じ、当該専利権の管理によって得られた収益で債権者に弁済することができる(強制執行法第117条)。
 
執行対象の専利権が複数の者によって共有されており、そのうち1共有者の持分が執行裁判所によって差押えられ、競売にかけられたとき、専利法には各専利共有者はその持分の処分について、その他の共有者の同意を得なければならないと規定されている(「専利法」第65条第1項:「特許権の共有者は、その他の共有者全員の同意を得なければ、その持分を他人に譲渡、信託したり、又は質権を設定したりすることはできない」)ため、裁判所はいかに執行すべきか、実際、疑義がある。
 
      執行裁判所は共有者全員の同意を得ずに、専利共有者の持分を差し押さえることができる
 
台湾高等裁判所は201374日に102年(西暦2013年)度抗字第661号民事裁定を作成し、「専利共有者の持分はその他の共有者の同意を得ずにこれを差し押さえることができるか否か」につき、以下のような見解を示した。「専利法第65条第1項は共有専利権の持分の『譲渡』、『信託』又は『質権の設定』などの情況につき規定したものであり、もし上記の共有専利権の持分を『処分』する行為に属さないのであれば、上記法条は適用されない」「執行裁判所が執行命令を出して、抗告人が係争専利権の持分につき移転、実施許諾、質権設定の登記又はその他の全ての処分を行うことを禁止することは、抗告人が所有する係争専利権の持分につき『処分禁止』を行う差押え手続きにすぎず、抗告人が所有する係争専利権の持分につき競売又は売却などの『処分』を行う換価手続きではないため、前記説明により、専利法第65条第1項規定は適用されない。よって、抗告人が当該これらの規定に基づいて執行裁判所の差押え手続きに対し異議を表明することは、法において理由を有するとは言い難い」。
 
上記高等裁判所の民事裁定から、執行裁判所が執行命令を出して、債務者がその専利権の持分を処分することを禁止することに対して、専利法第65条第1項の規定は適用されないことがわかる。
 
      共有者の持分が執行裁判所によって競売にかけられるとき、共有者全員の同意を得る必要はない
 
台湾新竹地方裁判所は20131115日に作成した99年(西暦2010年)度司執字第32540号民事裁定のなかで、「専利共有者の持分は、その他の共有者の同意を得なければ、競売にかけることができないか否か」につき、2つの実務意見を引用して、否定的な見解(即ち「共有者全員の同意を得る必要はない」とする見解)を示している。それぞれ以下に述べる。
 
-          台湾高等裁判所99年(西暦2010年)法律座談会の結論では、専利持分の競売には専利法第65条を適用すべきでない、と認めている
 
台湾高等裁判所及び所属裁判所は99年(西暦2010年)法律座談会民執類提案第54号審査意見のなかで、「共有者の持分が執行裁判所によって競売にかけられるとき、専利法第65条が適用されるか否か」という法律問題につき、否定的な見解(即ち「該条を適用しない」とする見解)を採用し、該審査意見は「専利法には共有専利権の競売について明文で禁止されておらず、かつ、もし共有者全員の同意を得られなければ換価手続きを行うことができないのであれば、逆に、共有者全員の同意の有無が執行裁判所の執行上の障害事由発生に影響を及ぼすこととなり、債務者が執行を逃れる抜け穴を容易に形成することになる。ゆえに、債権者の債権につき求償及び執行手続きの順調な遂行を確保するため、共有者全員の同意を得る必要はない」とする結論を出している。
 
専利法第65条に基づいて生じる執行実務上の困難につき、当該法律座談会の結論は否定的な見解(即ち「該条を適用しない」とする見解)を採用し、「専利法が専利の持分を競売にかけることを明文で禁止していない状況において、強制執行の目的を達するため、専利法第65条を適用すべきではない」と認めている。
 
-           智慧財産局102年(西暦2013年)102日の解釈通達も、専利法第65条を適用しない、とする見解を採用している
 
台湾新竹地方裁判所は、別途、該法律問題について経済部智慧財産局に書簡で問い合わせ、これを受けて智慧財産局は102年(西暦2013年)1028日(102)智専一()15189字第10221464000号書簡で、「専利案の持分の競売は、強制執行法の関連法令によるものであり、専利法にはこれに対し特に規定がなく、専利法第65条も適用されない」と回答している。
 
よって、台湾新竹地方裁判所は上記司法研究討論会の結論と主務官庁の書簡に基づいて、共有者の持分が執行裁判所によって競売にかけられ換価される場合、「専利法第65条の規定は適用されない」とする見解を示し、執行裁判所はその他の共有者の同意を得ずに、直ちに債務者の専利の持分を競売にかけることができる。
 
      共有専利中、各共有者の持分比率がはっきりしないとき、それは均等であると推定する
 
執行裁判所が債務者の専利の持分を執行する際、債務者と第三者の共有専利の持分比率がわからず、裁判所と主務官庁が調査してもわからなかった場合、債務者の持分をどのように認定するのか。 台湾新竹地方裁判所は前記裁定のなかで、「民法第817条第2項の規定により、各共有者の持分が不明であるとき、それは均等であると推定する」と判示している。
 
よって、執行裁判所が専利共有者の持分の競売を執行する際、民法の規定を適用し、共有者の人数を以て債務者の持分比率を推定し、競売手続きを行うことができる。
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