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知的財産裁判所によるアダルト著作物の著作権認定第一号



アダルト著作物が著作権法で保護される否かにつき、裁判所の実務ではこれまで否定的な見解(即ち「保護されない」とする見解)が採用されてきた。
 
台湾の最高裁判所(最高法院)は88年(西暦1999年)度台上字第250号刑事判決で、「著作権法にいう著作とは、文学、科学、芸術又はその他学術範囲に属す創作物を指す。著作権法の立法目的は、個人又は法人の知的生産物である著作物を保護し、大衆に公正に利用させる以外に、健全な文化の発展に寄与することにある。したがって、社会秩序の維持を妨げ又は公共の利益に反する著述は、国家の社会発展を促進する理由がなく、かつ、著作権法の立法目的に反し、『既得権の保障は公序良俗に反しない場合に限られる』という原則に基づけば、アダルト著作物は著作権法にいう著作物には属さず、著作権法の保障を受けない」と判示した。最高裁判所の刑事判決は「アダルト著作物の内容は我が国の社会風俗を妨げ、ならびに我が国が規範する『限制級』(※台湾における映像関連視聴制限。18歳未満の鑑賞に適さないものに付される)の基準を超えており、公の秩序と善良の風俗に反し、当然、著作権法の保障を受けない。たとえ、第三者がアダルト著作物を製造又は販売したとしても、アダルト著作物の著作者はそれに対し著作権を主張することができない」と認めている。また、最高裁判所は94年(西暦2005年)度台上字第6743号刑事判決でも「アダルト著作物は、著作権法の保護を受けない」と重ねて判示している。
 
しかし、最高裁判所又はその他裁判所のこれまでの見解とは異なり、台湾の知的財産裁判所(智慧財産法院)は2014220日の101年(西暦2012年)度刑智上易字第74号刑事判決で、「創作性を具えるアダルト著作物は依然として著作権法の保護を受ける」と判示した。
 
知的財産裁判所は「我が国の著作権法は『創作保護主義』(※著作者は政府による著作権登録の審査・許可を必要とせず、著作の完成時に著作権を取得する)を採用しており、著作権法第10条には明文規定が置かれている。したがって、アダルト著作物が独立した思惟、創意及び技巧に基づいたものであり、独自性及び創作性を具えるのであれば、著作者はアダルト著作物完成時に著作権を享有する」と指摘している。
 
知的財産裁判所は本案について2014220日にプレスリリースを出し、次のように表明している。「著作権の取得には『創作保護主義』を採用する。アダルト創作が著作権取得の要件に合致し、創作性を具え、かつ、消極的要件が存在しないのであれば、当然、著作権法の保護を受ける。アダルト著作物が社会道德又は法律基準に反する場合、国家は善良の風俗及び青少年の身心の健康の保護の双方に配慮して、アダルト著作物の製造、陳列、散布、伝送、発行及び所有などの行為に対し、適当な管理規制措置を講じることができ、アダルト著作物は法令の制限又は規範を受けるが、アダルト著作物の著作権取得を制限することはできない。ポルノ的性質を具える創作が著作権の保護を受ける対象でないわけでは決してなく、そのポルノ的性質と著作権の取得は無関係である。したがって、著作者の権益と社会の公共利益の調和に基づき、独自性を具えるアダルト著作物の著作権の行使を制限することはできるものの、比例原則を考慮すれば、創作性を具えるアダルト著作物が著作権を有することを全面的に否定し、法律で禁止されていない要件を創設することはできない」。
 
知的財産裁判所の判決は各界で激しい議論を巻き起こした。本案は最高裁判所に上訴することができず、最高裁判所の本案判決についての見解を知ることはできない。最高裁判所又はその他の裁判所が、今後、類似案件について知的財産裁判所の見解を支持するのか否か、注視する必要がある。
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