ニューズレター
支社を商標登録出願案の出願人とすることはできない
支社を商標登録出願案の出願人とすることができるか否かは、実務上かなり重要な議題であり、特に外国企業がその台湾支社の名義で商標登録を出願することができるか否かは、外国企業が強い関心を寄せている問題である。智慧財産局(※台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下、「智慧局」という)は、これまでは、支社名義で出願された商標登録出願案を数多く承認してきたが、現在、既にその見解を変えており、原則として、設立国の法律により、支社が独立した法的人格をもたないのであれば、本社名義でしか商標を出願することができない。 |
智慧局はその2011年6月8日智法字第10018600350号解釈通達で、「外国企業」を「専利」(※中国語の「専利」には発明特許、実用新案登録、意匠登録の意味が含まれる。以下、原文表記する)、商標登録出願案の出願人とすることに関し、その関連事項について特に説明を行っている。智慧局は、「専利、商標登録出願人とは、記名して智慧局に専利、商標登録出願案を提出する者を指し、権利、義務の主体であり、法的人格を備えなければならず、自然人又は法人でなければならない。外国企業は専利、商標の出願人となることができ、我が国に専利、商標登録出願を提出する際、特に承認を受ける必要はない。しかし、外国企業の台湾支社は独立した法的人格を備えていないため、当該支社が専利、商標登録出願案を提出するときには、依然として、当該外国企業本社の名義で出願しなければならない」としている。 |
しかしながら、智慧局は別途、次のように補充説明を行っている。「当該外国企業が本社設立地以外のその他の国で設立した支社が独立した法的人格を有するか否かについて、各国の規定は異なり、もし、それが依拠とする設立地の国内法の規定により、当該支社が独立した法的人格を有するのであれば、専利、商標出願人とすることができる。したがって、当該支社を我が国の専利、商標登録出願案の出願人とする場合、補正を通知して、出願人は出願人を当該外国本社の名義に改めることができ、若しくは、当該支社が設立地で独立した法的人格を備えることを証明する書類(当該支社が、それが設立地において独立した法的人格を備えるものである旨声明する声明書をこれに代えることもできる)を添付して、当該支社を専利、商標出願人とすることができる」。 |
その新たな見解及びやり方に対応して、智慧局は、「出願人の提出した声明書が、現存の既知の各国の法律規定と合致しない又は智慧局が必要と認める場合には、出願人に、それが依拠とする設立地の国内法の規定により当該支社が確かに独立した法的人格を備えることを証明する書類を補充するよう通知し、期限を過ぎても補充しなかった又は補正した書類でも証明することができなかった場合には、依然として、当該外国本社を出願人としなければならない」としている。 |