ニューズレター
専利無効審判請求手続中の専利請求の範囲の補正
専利権者の無効審判請求手続における補正申請の処理手続に関して、先ごろ智慧財産局は、関連実務作業を即日変更する旨の通達を公布した。 |
無効審判請求手続について、「専利法」には、智慧財産局は無効審判請求人の書状を専利権者に送達して答弁させなければならず(「専利法」第69条第1項)、かつ、専利権者が専利請求の範囲について行った補正を無効審判請求人に通知して意見を述べさせなければならない(同法第71条第3項)、としか明文規定されていない。専利出願案の審査について、同法第46条第2項は、智慧財産局に「先行通知義務」を課しており、拒絶査定の処分を作成する前に、まず専利出願人に通知し応答させなければならないとしているものの、この「先行通知義務」は無効審判請求手続には準用されておらず、智慧財産局は、実務上たとえ専利権者が無効審判請求手続きにおいて行った補正申請を拒絶するつもりであっても、必ずしも事前に当該専利権者に通知し答弁させ、又は、さらに一歩踏み込んで補正の機会を与えるとは限らない。これは「行政程序法」(「行政手続法」)第102条に規定される「行政機関は人民の自由又は権利を制限又は剥奪する行政処分を下す前に、当該処分の対象者に意見を述べる機会を与えなければならない」とする基本原則に合致しないようである。たとえ、「専利審査基準」に、智慧財産局が専利権者の補正請求に受け入れることのできる部分とできない部分があると認める情況下について、当該局はまず専利権者に通知して答弁又は再度補正させなければならない、と規定されていても、智慧財産局は過去の実務において決してこれを完全には遵守していない。その結果、当事者の権益に影響を及ぼしており、かなりの数の紛争も生じているため、代わりに経済部及び行政裁判所が誤りを指摘して改めさせたものである。 |
たとえば、経済部は2007年には、既に経訴字第09606075030号訴願決定のなかで「専利異議申立手続(注:現行法では既に異議申立手続は廃止されている)において、異議申立を受けた者(以下「被異議申立人」)が専利請求の範囲につき補正を提出した場合、発明と創作を奨励するという立法目的に基づいて、智慧財産局がその補正に受け入れることのできる部分とできない部分があることを認めるのであれば、『行政程序法』(『行政手続法』)第102条の『人民の自由又は権利を制限又は剥奪する行政処分を下す前に、意見を述べる機会を与えなければならない』という原則を適用すべきである。また、『発明特許審査基準』の関連規定を参照して、処分前に理由を説明し改めて補正するよう職権で通知すべきであり、期限を過ぎても補正しない場合に初めて被異議申立人に対して不利な処分を下すことができる」と指摘している。当該訴願決定は、異議申立手続について為されたものであるが、智慧財産局が無効審判請求手続中の補正申請を処理する際に、その補正に受け入れることのできる部分とできない部分があると認める場合についても、先行通知手続を確実に行って当事者の権益を保護すべきである、と注意を促す効果もある。 |
智慧財産局が先ごろ公布した通達の内容は、概略すると、「『行政程序法』(『行政手続法』)第102条の規定に合致させ、専利権者に、より完全な権利保障を付与すべく、無効審判請求案で提出された補正事項につき、審査の結果、『専利法』の関連規定に合致しないと認める場合、補正規定に合致しないことを明確に説明した理由を、書面で専利権者に通知し、期限を定めて応答させるが、かかる措置は原則として1回のみとする」というものである。言い換えれば、智慧財産局の今回の実務作業変更は、もともと「補正に受け入れることのできる部分とできない部分がある」と認める情況においてのみ専利権者に通知するという手続を、「『専利法』の規定に合致しないと認める場合には、一律かつ直ちに、答弁するよう通知し、かかる措置は1回のみとする」と拡大するものである。この実務変更は専利権者の保障にとって多くの利点がある。 |