ニューズレター
著作権侵害の判断要件
他人が先に創作し完成した著作物と同一又は実質的に類似する著作物が著作権侵害を構成するか否かについて、著作権法には明文規範が置かれていない。最高裁判所は、2007年一則刑事判決において、「著作権の権利侵害は『実質的類似性(substantial similarity)』及び『アクセス性(access)』の2つの要件を考慮しなければならない。即ち、著作権者は、著作物の表現が同一である又は実質的に類似(substantialsimilarity)しているかどうかを考慮しなければならないほか、権利侵害者がかつて著作権者の著作物に接触(access)したことも立証しなければならない」と判示している。
実質的類似性要件の斟酌につき、最高裁判所は、量的な類似性のみならず、質的な類似性をも併せて考慮する、と認めた。文字著作物が剽窃されたものであるか否かを判断する際、複製行為の態様に依り、その利用に係る質的な部分と量的な部分につき、社会の客観的な基準に基づいてそれぞれ考慮すべきである。
台中地方裁判所は、2007年度易字第1479号刑事判決において、最高裁判所2005年度台上字第6398号刑事判決の見解を引用してさらに具体的に「実質的類似性」の判断は著作権者の著作性質と関連する、と指摘している。もし著作権者の著作物がパブリックドメイン(public domain)に多くを由来する事実型著作物(factual work)である場合、杜撰なやり方で適当に作り出すことが許されない、自由に表現できる余地及び表現方法に限りがある、情報源がしばしば重複している、等の特徴があるため、「実質的類似性」の構成要件上、厳しい基準を採用しなければならない。これに反して、フィクション(fictionalwork)又は詩文等、創作性の比較的高い著作物であれば、実質的類似性の要求基準は比較的低い。