ニューズレター
商標の逆混同
後から登録出願又は使用された商標が、先に登録出願又は使用された商標と同一又は類似しており、且つ同一又は類似する商品又は役務に使用される場合、先に登録出願又は使用されていた商標の識別性を減損するか、又は当該商標と混同誤認の虞があれば、登録許可を受けることはできず、甚だしきに至っては商標権侵害を構成する可能性がある。但し、後から登録出願又は使用された商標が反対に、先に登録出願又は使用された商標より有名である場合には、いわゆる「商標の逆混同(reverse confusion)」を構成する。それが登録許可を受けることができるか否か、商標権侵害を構成することになるのか否かは、理論上及び実務上、いずれにおいてもかなり論議のある問題である。
台北高等行政裁判所は2006年度訴字第1184号判決で、「『商標の逆混同』を後から登録出願した商標が登録許可を受ける理由として援用することはできず、商標権侵害を構成する可能性がある」と判示した。裁判所は、「『商標の逆混同』は『商標の直接混同』に対応する概念であり、通常、先願商標の商標権者が市場において弱い立場にあり、後願商標の商標権者が強い立場にあるか、又は非常に著名である際、後願商標権者が消費者に、先願商標権者の提供する商標又は役務が後願商標権者に由来するとの誤った印象を抱かせることになることを指す。後願商標権者が先商標権者の信用に便乗しようとはしていなくても、先願商標権者の商標の価値を失わせ、且つ当該商標の市場進出力に影響を及ぼす」と認めている。
台北高等行政裁判所の「商標の逆混同」に関する見解が、商標権侵害訴訟案件に対して影響を及ぼすか否か、今後の動向が注目される。