ニューズレター
「公平交易法」改正草案
公平交易委員会(FTC)は経済のグローバル化の趨勢によって生じる事業結合規制、連合行為規範制度の変革に対応すべく、「公平交易法」(「公正取引法」)及び関連法制を改正する。以下に改正の要点を簡単に説明する。
1.事業結合規制に関する改正
経済協力開発機構(OECD)事務局は我が国に対してピア・レビュー・コメントを行い、我が国は当該コメントに対して回答を行った。我が国は前述の回答内容を実行するために、市場占有率を結合申請の基準とすることの撤廃を討議検討したが、一般大衆の意見を求めるため、依然として市場占有率を結合申請の基準とする案を保留する。また、個別の事業が単独で再投資をして100%子会社を設立する場合、市場構造にいかなる影響も及ぼさないため、申請する必要がない旨の規定を追加する。
2.世界各国の競争法が連合行為に対して採用している規範制度を参酌したうえでの改正
(1)連合行為の例外的許可に係る概括条項
(2)市場機能に実質的な影響を及ぼさない連合行為及びその他の連合行為の免除条項を主務官庁が定められることにつき、法的授権依拠を追加する。
(3)連合行為禁止規定に違反する約定の無効、及び連合行為許可付帯条項違反の法律効果を追加する。
(4)赦免条項、即ち連合行為に参与した事業者が自発的に主務官庁に通告し並びに調査に協力した場合、その行政責任を軽減又は免除することができる依拠を追加する。
3.再販売価格契約に関する改正
外国の立法例を参酌すると、再販売価格契約行為に対し「当然に違法」又は「合理の原則」を法執行の基準として採用しているが、両者のうちいずれが優れているのかについて一定の見解は得られていないようである。我が国の社会や経済の発展状況、及び公平交易委員会の実務上、法執行上の必要を考慮し、甲案(明文によって再販売価格契約行為を禁止)、乙案(競争を制限するおそれのない再販売価格維持契約行為に対し、行政制裁介入の余地を保留)の2案について討議した。また、再販売価格を制限する約束は無効であること、並びに事業のサービス料金徴収にも本条規定を準用する旨本条規定に明確に定める。
4.政府組織再構築に沿った改正
政府組織の改造に合わせ、本法主務官庁の名称を「国家公平交易委員会」に改める。
5.異なる違法行為類型を区別し、異なる行政責任に処する旨の規定
我が国の「公平交易法」は競争制限と不公正競争を合併した立法体系を採用しており、現在世界の多くの国々が採用している競争法体系とは異なっている。また、異なる違法行為類型ごとに異なる処罰を与えてはおらず、業者が裁量権を濫用するのではないかとの懸念を引き起こしている。そこで、異なる違法行為類型により行政罰法関連規定を参酌し、並びに我が国の現在の判断処理実務は、これらの行為についてそれぞれ区別して行政制裁を行っている。
6.業務に必要な又はその他の法律の変動に沿った改正
商標法改正草案で商標保護範囲が拡大されることを受けて、また商標法と本法との間で、販売、運送、輸出又は輸入に際して当該商標を商品に使用する行為に対する処罰規定の軽重バランスが損なわれることのないよう、本法の商標保護についての規定を削除する。但し、他人の表徴の識別性又は信用名誉を損ない、若しくは他人の商業名誉にただ乗りし、若しくは積極的に他人の努力成果を搾取する行為を、新たに規範に入れた。
7.マルチ商法に関する条文の削除
実際の業務において必要なマルチ商法管理法が単独で立法されたため、本法の当該部分の規定を削除する。
公平交易委員会はウェブ上で改正草案を公開し、当該草案に対する一般の意見を求めており、かかる意見を参考に当該草案を修正した後、最終草案が行政院で審議されることになる。