ニューズレター
会社が取締役に対し訴訟提起する場合には株主総会での決議が必要
経済部は2005年6月29日付通達にて、最高裁判所1980年台上字第1995号判決を引用し、「会社法にいう会社と取締役間の訴訟とは、株主総会が取締役に対し訴訟提起を決議することを指す。株主総会は会社の最高権力機関であるので、株主総会のみが会社が取締役(又は監察人)に対して訴訟を提起するか否かを決定する権利を有する」との見解を示した。監察人の監察権行使については、取締役に不法な職責失当の事実があると認められる場合に、会社法の規定により株主総会を招集することができるのみであり、該取締役に対して訴訟を提起するか否かは株主総会がこれを決議する。
会社が取締役に対して訴訟を提起する際には、株主会決議を経なければならない。但し、株主総会の招集及び討論には一定の手続があり、相当の時間を要する。さらに、会社が取締役の負うべき責任の訴追を怠る場合、会社全体の権益に影響があるため、会社法では少数株主に対し、会社が取締役に対し訴訟提起するよう書面で以って監察人に請求する権利を付与しており、これについては再度株主総会決議を経る必要はない。
仮に会社が株主総会決議を経ずに取締役に対して訴訟を提起した場合、手続を補正することができるか否かは、裁判所が法律見解を踏まえたうえで決定しなければならない。