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譲渡価格評価準則の要点



所得税法第43条の1は、取引慣行に合致しない関係者間の取引の調整制度について規定している。しかし、「取引慣行に合致しない」とは何を指すのかを判断する正式な基準がないため、過去30年間にわたりこの条項が適用されることはほとんどなかった。多国籍取引において利益をどのように企業間で分配するかは、各国の関税自主権維持に関わる問題である。ここ数年の企業経済の急速な国際化に伴い、譲渡価格評価ガイドラインの作成が急務となっていた。そこで財政部は2004年1月2日に営利事業所得税審査準則第114条の1を追加し、取引慣行に合致するか否かを判断する基本的基準を制定した。これは総合的譲渡価格評価制度確立の先触れとなるだろう。

財政部は、取引慣行に合致しない営利事業所得税の譲渡価格評価準則(移転訂価査核準則)の草案作成を積極的に進めた。この草案は2004年10月5日に「行政程序法」に基づき公開され、同年12月28日正式に公布・施行された。2004年に申告された営利事業所得税からこの評価準則が適用されるため、関係者間取引、又は企業併購法、金融持株会社法規定の制限・禁止取引行為(関係者間に限定されない)は、追徴課税や申告漏れによる処罰を避けるため、この評価準則に特別の注意を払う必要がある。

評価準則は7章36条からなる。以下その要点を簡単に説明する。

1.評価対象取引の範囲(第2条)

所得税法第43条の1、金融持株会社法第50条第1項、企業併購法第42条第1項第1号に規定される取引慣行に合致しない全ての取引を包括し、関係者間取引に限定しない。

2.従属・支配関係の判断基準(第3条)
判断基準は主に会社法の関係者間取引に関する条項、関係者の取引の会計準則公報に依拠する。以下の項目を含む。

(1)直接若しくは間接的に相手の株式の20%以上を所有する事業者間
(2)同一個人が直接若しくは間接的に株式の20%以上を所有する事業者間
(3)筆頭株主で有り且つその持ち株が10%以上に達する事業者間
(4)業務執行に当たる株主及び董事の半数以上が共通である事業者間
(5)取締役の半数以上を派遣する事業者間
(6)董事長や総経理若しくは同レベルの上級管理職等が同一個人、又はその配偶者、二親等以内の親戚(祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫)である事業者間
(7)国外本社と台湾支店等の関係であるとき
(8)相手の人事、財務、経営に直接又は間接に支配力をもっている事業者間
(9)合弁若しくは共同経営契約が結ばれている事業者間
(10)その他、一方が相手の人事、財務、経営、管理体制を支配していることを証明するに足る事業者間


直接又は間接的に支配しているか否かについての判断は、評価準則は5通りの状況を定義している。

(1)総経理レベル以上の人員を指名しているとき
(2)資金を融通しているとき(金融機関によるものを除く)、又は相手の総資産の3分の1以上を保証することに同意しているとき
(3)生産若しくは経営活動の総生産高(総取引高)の50%以上を占める活動に相手の特許権又は商標権、著作権、ノウハウ、特殊技術、その他ライセンスによる権利を必要とするとき
(4)1年間の原材料又は商品購入の50%以上を依存するとき
(5)1年間の商品販売の50%以上を依存するとき


3.関係企業及び関係者の定義(第4条)

前項の従属若しくは支配関係にある営利事業者間を関係企業という。関係者とは、関係企業のほか、個人又は事業者が以下にあげる関係を営利事業者との間にもつものを指す。

(1)実収寄付総額の3分の1以上を受けた財団法人
(2)董事、監察人、総経理、副総経理レベル以上の個人
(3)董事、監察人、総経理クラス以上の個人の配偶者
(4)董事及び総経理の二親等以内の親戚
(5)その他、営利事業に対し支配力若しくは大きな影響力をもつことが証明される個人

4.評価準則が適用される取引形式(第5条)

適用範囲は広範で、取引形式に関わらず有形資産及び無形資産の取引を含み、
有償か無償かの区別も問わない。サービスの提供若しくは資金の使用、財政部が定めるその他の形式もこれに含まれる。

5.対等取引の判定(第7条)

徴税者及び納税者双方は以下の原則を適用し、対等取引に合致するか否かを判定する。

(1)非関係者との取引との比較により判定する(「可能比較法」)
(2)最も適した対等取引を選択し判定しなければならない(最適対等取引原則)
(3)関連するかまたは連続する取引を除き、個々の取引に最も適した取引形式によらなければならない(個別取引評価原則)
(4)ビジネスサイクルに影響される場合や、取引対象が商品寿命サイクルに影響される場合、営利事業者がマーケットシェアストラテジーを採用する場合、利益が対等取引の成果判定の材料とされる場合、その他財政部が認める状況を除き、同一年度のデータに基いて判定すること(同一年度比較原則)
(5)2以上の同一の対等取引方法の成果の範囲を適用して、調整を行うか否かを決定すること(複数比較原則)
(6)もし企業が損失を申告しているにもかかわらず、グループ全体を世界的に見ると利益を上げている場合、損失の原因と相互取引が取引慣行に合致しているか否かについて分析を行うこと(損失原因分析原則)
(7)双方向取引の取引価格はそれぞれ別途評価すること(収支個別評価原則)
(8)その他財政部が認めた対等取引原則

各取引形式が使用できる対等取引方法(第10~13条)
取引形式対等取引の判断方法  有形資産取引  無形資産取引  サービス提供取引  資金使用取引
比較可能な非操作価格法 (CUP) ü   ü ü
比較可能な非操作取引法    ü    
再販価格法 (RPM)  ü      
コスト加算法 (CPM) ü   ü ü
比較可能な利益法 ü ü ü  
利益分割法 (PSM) ü ü ü  
その他財政部が規定する方法 ü ü ü ü


6.比較可能な非操作価格法若しくは比較可能な非操作取引法(第14条、第15条)

比較可能な非操作価格法は対等取引価格を決定する最も直接的な方法である。例えば、有形資産取引においては、(1)支配を受けるグループ会社による非関係企業への製品販売、(2)非関係企業による支配を受けるグループ会社への製品販売、(3)非関係企業間の販売行為、の3種類の取引が比較対象となりうる。以下例をあげて説明する。

台湾のA社は英領バージン諸島のB社の株式全てを所有している。A社がコンピュータのマザーボードを1単位NT$650のコストで生産し、韓国の販売会社に1単位NT$900で販売するほか、関連子会社であるB社に1単位NT$700で販売、B社は国外の非関係顧客にNT$950で販売する場合、台湾のA社がその製品をB社に販売することは、国外の販売会社に販売することと同一であるはずであるため、この方法になる対等取引価格はNT$900となる。

比較可能な非操作取引方法は無形資産取引のみに適用される。この方法と前記の比較可能な非操作価格方法の相違は、無形資産の場合は有形資産に比べ、非操作取引の情報を比較材料として入手することが一層困難なことである。そのため、比較可能な程度及び差異の調整可能な程度について特別の配慮が必要である。例えば、ライセンシングが独占的であるか否か、その使用に制限があるか否か、変更する権利があるか否かなど、様々な因子により発生する相違の合理的な調整が不可能な場合、その他のより適した方法を適用すべきである。

7.再販価格法(第16条)

この方法によれば、対等取引の譲渡価格は、企業が製品を非関係者に再販する価格を粗利益の推定額から差し引くことで算出される。差し引かれる金額は比較可能な非操作取引の粗利益に基づいて計算される。以下例をあげて説明する。

台湾のA社が関連子会社B社に商品を1単位NT$200で販売する。商品にはそれ以上の加工を加えないものとし、B社は非関係会社Xに同価格で販売する。もし国税局が定める当該商品の粗利益のマージンが-比較可能な非操作取引による粗利益に基づく-30%だとすると、このケースでは、A社とB社との対等取引価格は、非関係者に対する操作取引による商品の再販の粗利益NT$200からNT$60(200×30%=60)を差し引くことによって計算され、NT$140となる。従って国税局は、A社のB社に対する商品販売の対等取引価格をNT$140とし、それに基づきB社の購入コストを調整する。

8.コスト加算法(第17条)

この方法によると、対等取引価格は非関係者からの購入にかかるコスト、若しくは自らの製造コストから計算され、比較可能な非操作取引コスト加算率から計算される粗利益を加算する。以下例をあげて説明する。

台湾の機械部品製造業B社が関連販売会社C社に販売し、C社は同一の機械部品をC社の関連会社ではないD社、E社、F社からも購入する場合、C社に対する販売から得られるD社、E社、F社の粗利益のデータから、B社のC社に対する機械部品の対等取引価格を算出することができる。

9.比較可能な利益法(第18条)

一定期間の比較可能な非操作取引の平均利益は比較可能な利益の算出に用いられ、操作取引の対等取引成果を決定するための基礎となる。以下例をあげて説明する。

MKは国外の世界的な清掃用品製造会社である。台湾における唯一のMK販売会社である台湾子会社MKTは、MKの組み立て済み製品を輸入し台湾においてMKの名によって販売する。MKは同一製品を他の独立した販売会社へ販売せず、類似製品を生産する他社も独立販売会社へ販売しない。

徴税機関は、数多くの独立販売会社のデータを入手するとともに、その中からMKTと類似した機能をもち、同程度のリスクを負い、同分野において活動する複数の会社を選択して比較基準とする。対等取引の利益水準を評価するために利用される2001~03年のA社、B社、C社、D社、E社、F社の年平均純利益がNT$20,000~25,000で、MKTの同時期の年平均利益がNT$0(2001~03の収支が20,000、-15,000、-5000)だとする。これは非操作販売者による対等取引の範囲外である。そこで全非操作販売会社の2003年のデータの中央値を採用する。中央値が2003年のC社及びD社の営業利益平均値NT$22,500に落ち込むとすると、MKTの営業利益もNT$22,500まで調整される。

10.利益分割法(第19条)

操作取引の各参加者の行為、参加者の全体の営業利益に対する貢献度により、各参加者の分配すべき営業利益を計算する。この方法は事業への各参与者の行為が高度に統合され、その取引の成果を単一のものとして考慮することができない場合に適当である。以下例をあげて説明する。

台湾のD社はレーザーオーディオ機器製造会社である。主な構成部品を台湾で製造し、部品を完成品まで組み立てて市販する香港の関連子会社G社に販売する。

D社によって提出される利益分割法に基づく収支表
  台湾D社 香港関連子会社 合計
販売収入  60  120  120
販売コスト  (50)  (60)  (50)
販売粗利益  10  60  70
販売諸経費  ( 5)  (15)  (20)
営業純利益  45  50
運営資産    50  


徴税機関は利益分割法をその会社の対等取引成果を判定するために応用するか否かを決定する。販売諸経費を差引く前の純利益は70である。D社の香港関連子会社と類似した役割を担う香港の会社を例にとると、子会社の経常的な貢献度が5となるように(運営資産 50×10%)、子会社の運営資産の平均市場相場を10%とし、未処理の収益は65となる(70-5)。徴税機関はこの原則を適用することにより、無形資産についての各々の貢献度によって、事業者間の未処理の収益を分配する。

徴税機関が、2社がオーディオ製品を維持するための研究開発に投資したコストから年間の償却を計算するとき、香港子会社5、台湾D社15とする。償還比率は4分の1及び4分の3となる。台湾の親会社に帰する未処理の収益は48.75(65× 3/4)であり、香港関連子会社は16.25となる。このケースから分かるように、譲渡価格の適用が、異なる収益の償還比率をもたらす可能性がある。

11.年間所得申告を行う際、事業者はその関係者及びその操作取引に関する情報を開示すべきで、企業プロフィールや組織構成、操作取引データのまとめ、譲渡価格の報告など、操作取引価格に関する書類を保管し、審査時に提出しなければならない(第21条、第22条)。

12.営利事業者が関係者と取引する場合、事前の価格協定を関係徴税機関に申告しなければならない。(第23~32条)

13.操作取引に従事する営利企業が、その収益を徴税機関により所得税法及び本準則に則って調整され、所得額を決定されるとき、申告していないか申告漏れの収益があれば、所得税法第110条に基き処分される。もし関係取引の相手が台湾の所得税納税義務者である場合、課税所得額に対し相応の調整が行われる(第34条、第35条)。
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