ニューズレター
電信事業に対する公平交易法の規範
電信市場の開放と自由競争制度の導入に伴い、公平な自由競争環境を創り出すため、電信事業の競争行為に対する規制は、価格など経済活動の制御からゲームのルールの設定に変わろうとしている。現在の複雑な市場の動態を考慮に入れ、電信業者が公平交易法の関連規範を正しく理解できるよう、行政院公平交易委員会は、現行の法令の下で公平交易法に抵触し得る電信事業の行為形態について総合的に分析し、また、先進諸国の電信事業の自由競争についての規範、事例を参考に、電信事業に対する公平交易法適用ガイドラインを作成した。しかし、該ガイドラインは電信事業の特殊性に基づくものであり、公平交易法に抵触し得る行為形態を例示し、これに説明を加えているにすぎず、個々のケースの処理は具体的な事実に基づいて判断することになる。
該ガイドラインはまず公平交易法と電信法及び消費者保護法の競合及び適用原則を説明している。電信法の優先適用、例えば料金管理、ネットワークの相互接続、公平なアクセス、会計の分離、携帯可能な番号などは、自由競争にも関連する問題だが、既に電信法に特別の規定があるため、電信法を優先して適用し処理する。単純な消費者紛争、例えば電信料金やその請求、サービスクオリティ、サービス契約条件などに関する紛争については、電信法及び消費者保護法の関連規定に従って処理する。
また、該ガイドラインは、市場の境界及び市場におけるシェアの計算についても説明している。市場の範囲は、製品市場と地理的市場及び需要と供給の代替性、卸売市場と小売市場、市場の範囲に対する科学技術の発展の影響を考慮したうえで決定する。市場におけるシェアの計算方法は、契約戸数及び営業量、営業額、最大容量の比率を基準とする。
このほか、該規範は電信事業の独占行為の形態について明確に示している。独占的電信事業が一方的価格設定又は垂直的価格圧力、内部相互補助、差別的価格設定、ボトルネックファシリティの濫用、不当な差別待遇や長期契約若しくは取引対象の変更制限などを行えば、公平交易法の独占事業禁止規定に違反する虞がある。
さらに、電信市場における合併買収が頻繁であることを考慮に入れ、該規範は事業の結合の届け出許可についても説明している。公平交易委員会はまず市場の境界決定手続に則って製品関連市場及び地理的関連市場、市場参加者、並びに各市場参加者の市場占有率を算定した後、市場の集中度及び新規参入障害、垂直統合度、充分な市場力を有する取引相手の有無等市場の自由競争の程度に影響する要素を分析する。最後に、事業の結合が「経済全体の利益」及び「競争制限の不利益」に与える影響を検討する。ここにいう「経済全体の利益」につき検討すべき要素としては、該結合が(1)生産効率、及び配置効率、動態効率に与える影響、(2)その市場の自由競争を促進する効果を有するか否か、(3)広範囲、高品質、且つ多様化されたサービスを提供することに役立つか否か、(4)国際的競争力を高める効果を有するか否か、の各点が挙げられる。「競争制限の不利益」につき検討すべき因子としては、(1)その市場の構造及び集中度に対する影響、(2)その市場の自由競争制限の度合い、(3)関連市場への新規参入の障害を構成する可能性、(4)消費者の選択の自由・機会への影響、(5)聯合行為の可能性を高めないかどうか、(6)市場における支配力濫用の可能性を高めていないかどうか、の各点を含む。
該規範は聯合行為及び不当な取引制限行為の形態について例示的に示している。価格の共同設定又は共同制限、市場分割、共同ボイコット、情報交換についての協議などの行為は全て聯合行為と見なされる虞がある。電信事業者間において垂直的取引制限、共同購入制限、差別的取扱い、自由競争を損なうような優遇(差別的割引、忠誠割引、繰延べ割引)、景品活動(販売促進のための景品等の限度額案件原則の規定に違反しないものに限る)、抱き合わせ販売、不実広告は全て不当な取引制限行為と見なされる可能性がある。
最後に、公平交易委員会は、電信業が料金変更を広告に載せる場合、関連情報を十分に開示すべきである、と規定している。料金値上げの情報を隠匿してはならず、料金を調整して販売促進を図る際に、値下げされる項目のみを目立つようにし、値上げする項目を明らかにせず、虚偽や事実に合致しない情況や誤解を招くことがあれば、公平交易法第21条の規定に違反すると見なされる。