ニューズレター
退職者による会社秘密情報の持ち出し
離職従業員による会社秘密情報の漏洩を防止するため、多くの使用者が従業員と守秘契約又は競業避止契約を締結し、会社の権益の保護を図っている。しかし、守秘契約又は競業避止契約の効力については、実務上全く紛争がないわけではない。
最近発生したケースでは、不動産仲介会社の従業員が在職期間中に前もって退職後自らが開業するのに必要な資料を準備するため、会社が収集、研究・分析した商圏資料、会社営業活動の詳細な記録、顧客との契約成立記録など経済的な利益を有する資料をコピーし、かつ退職後開業した際にこれらを使用した。台湾高等裁判所2001年上易字第2786号刑事判決は、「該従業員の行為は、雇用主のために事務を処理する際、自己の不正な利益を図るもので、その任務に反する行為であり、雇用主の財産及びその他の利益に損害を与えるので、刑法第342条の背信罪となる」と判示している。